壁に耳あり障子にメアリー

瑞々しさを失わないための備忘録。ブログ名が既に親父ギャグ。

ヤクザのように金をむしり取るイギリスビザ

結論を、この記事の一番下からコピペする。興味を持たれた方は、読んでいただき、友人や、ことによると英国の要人に自由に広めてほしい。

 

結局僕は、総額10万円弱支払い、結果として、ビザがちゃんと届くかもよくわからないでいる。イギリスビザ申請は、値段とサービスが全く見合っていない。その高額な申請代金と追加料金は、チキンゲームに放り込まれた自分を安心させるためだけに有効である。これを典型的なヤクザ商売と言わずして何と言おうか。イギリスのビザは取らないことをおすすめする。

 

ぼくは9月15日から10か月イギリスに行ってくる。在外研究というやつだ。だから、イギリスのビザを取らなればならない。調べてみると、Tier5ってやつと、Academic Visitorってやつがあるらしく、どっちで申請したらいいのかぼくには判断つかなかった。そこで、研究員としてお世話になる向こうの大学に聞くと、「わからん」と言われ、こちらの資金面で援助してくれている日本学術振興会に聞くと「ビザに関する質問には答えられないことになっている」と言われ八方ふさがり。仕方なく、きっとこうだろうと思い、Academic Visitor(正確にはStandard VisitorのBusiness (Academic)という分類)で申請をした。今日は、その面接が終わったところだ。

 

まず、イギリスビザに関する問題としては、情報が皆無であるという点である。

英国政府は、具体的な提出書類について何も明示しない。そのため、疑心暗鬼にかられた我々は、「きっと不必要だろうけど、最終的にリジェクトされるよりはマシ」という備えあれば憂いなしのチキンゲームに強制的に参加される。そこでのNash解は、言わずもがな、「ありとあらゆる書類を用意する」である。

しかも「ありとあらゆる書類を用意」した人は、大体受かる。そして、受かったという情報をネットに載せてくれる。すると、ある意味で過剰な「申請書類リスト」が出来上がる。はっきり言って、それらをすべて集めるのにめちゃくちゃな時間がかかる。例えば、僕は、

  • Webアプリケーションフォームのプリント
  • 大学からの招待状
  • CV
  • 在学証明書
  • 卒業証明書
  • 成績証明書
  • 学振の採用証明書
  • 若手海外挑戦プログラムの採用証明書
  • 戸籍謄本
  • 通帳の取引明細
  • 預金残高証明書
  • 往復航空券の控え
  • 滞在ホテルの予約確認書

を揃えた。すべて英語で発行できるものは発行し、できないものは専門の業者に頼んで翻訳証明書付きの翻訳を出してもらった。翻訳証明書がいるというのは、英国政府のホームページに書いてるが、どれくらいの厳密さが必要か(つまり、自分で翻訳してもいいのか、業者に頼むべきなのか)については書かれていないため、チキンゲームの鉄則として、確実なほう=業者に依頼というのが、ビザ申請の定石となっている。全部そろえるのに1か月はかかった。

 

そして、イギリスビザ申請、もう一つの問題が、めちゃくちゃ高いということだ。

まず、ビザの申請に3万5千円かかる。そしてビザ申請のときにプライムタイムという午後の時間帯でもビザ申請の面接を受けられる(申請には面接が必須だ)権利を1万1千円で売っている。さらに、翻訳してもらうのに、ぼくは2万円弱かかった。

もっと安くなるのではないかというご指摘もあるのかもしれない。それはわかる。ぼくも常に安い方法を探していた。しかし、ここで思い返してほしい。これは、「チキンゲーム」なのだと。つまり、「安く済ますか」「確実に申請するのか」を天秤にかけたとき、「安く済まして失敗した時のリスク」があまりに高すぎるのだ。なぜなら、リジェクトされたら基本的にもうイギリスへ行けなくなるから。したがって、合理的な思考の持ち主は、高くなってでも確実にビザ申請ができる方を選んでしまうというわけだ。

さらに、ビザの申請の面接は出国日の1か月前からでないと始めることはできないという情報があり、ぼくはその情報を信じて、出国から20日ほど前にあたる本日8月29日に面接を受けに行った。英国政府のHPを見ると、僕の出したビザ区分は10日以内にビザが発行される確率は90%らしい。十分に間に合う。

しかし、いざ面接に行くと発行までに15営業日かかると突然言われた。おかしい。英国政府のHPには「10日」と書いてあったぞ。そのように伝えると、「その情報は古いですから。現在は繁忙期ですので」とにべもなく言われてしまい、仕方なく追加での支払いを決めた。手持ちがないと伝えると、近くのATMの地図を用意してくれた。こういう優しさは、まさにヤクザのようだなと思った。

お金を下ろしてきてもまだ納得いかなかったので、携帯で英国政府のページからビザ発行期間のページを見つけ出し、申請センターの職員さんに見せようとすると、「携帯電話はカバンの中にしまってください」と言われてしまった。安全管理のためらしい。仕方なくこちらから「ではあなた方のパソコンで今すぐ英国政府のページを見てください」と言うと、やはり「その情報は古いですから」の一点張りであった。

家に帰り、申請センターのホームページ(言い忘れたが申請センターは、政府の外注機関なので両者は別物だ)を見てみても「15営業日」という記述はない。政府発信の情報が古いのかもしれないが、では「新しい情報」はどこにあるというのだろうか。調べた限り、どこにもない。そういう重要な情報こそアナウンスすべきなのでは。しかも、3万円払って獲得した「優先審査サービス」も「審査が早くなるというわけではない」らしく、「早くにビザが届く」ということではないらしい。じゃあなんなんだかよくわからん。

で、この記事を書いているうちに、やっぱり理不尽だよなと思い、クレームメール書こうと思ったら、クレームのあて先は、「在マニラ英国大使館」で、「書面」でのみ受け付けるということになっていて(ビザの審査は、なぜかマニラで行うことになっている)、諦めて英国の内務省にメールした。事態は変わらないだろうけど。

ついでに言うと、プライムタイムという有料サービスを、ビザの優先審査サービスと勘違いして、1万1千円払って使ったのだが、これもなかなかのぼったくりであった。サービス内容としてホームページに書いてあるのは以下のとおり。

プライムタイムサービスは通常の申請受付時間(月曜 – 金曜 午前8時から午後2時)外に申請を受付ける有料サービスです。 プライムタイムサービスは月曜から金曜の午後2時から午後4時までのご予約で受付けております。

このサービスにはこれらが含まれます:

  • 待ち時間なし
  • 快適なプライベート空間の提供
  • 専任スタッフによる申請手続きと生体認証登録
  • フリードリンクサービス
  • 無料の郵送サービス
  • 無料コピーサービス(50ページまで)

 まず、「待ち時間」は確かに無かった。これはよかった。次に「快適なプライベート空間の提供」についてはダメ。個室は当然ないし、前の申請者の面談内容も丸聞こえだった。「専任スタッフによる申請手続きと生体認証登録」については、何がどう専任なのか分からなかった。僕ひとりに対して、少なくとも二人のスタッフからサービスを受けた。そもそも、専任である意味が分からない。こちらが質問しようとしても「私どもでは申請の内容には答えられないことになっています」といわれるのみだったし。「フリードリンクサービス」については、端的に言ってウォーターサーバーが置いてあるだけだった。たぶん、誰でも飲めるやつだろう。これをサービスに含めるのは、なかなか厚顔無恥であろう。「無料の郵送サービス」は受けられた。これは普通に頼むと2000円くらいだ。「無料のコピーサービス」は、コピーする必要がなかった。結論から言うと、どうしても午後しか時間が空いていない人以外はプライムタイムにする必要はない。郵送サービスだけ別に申し込めばよい。

申請センターのスタッフに、提出書類の内容について聞きたい場合は追加で2000円かかる。これは例えば、「これで書類は全部そろっていますよね」という確認も含んでいる。つまり、お金を払わなければ、彼らは書類に不足がないかを確かめることはしないのである。これはすなわち、書類の不足については自己責任でお願いしますということだ。だったら、わざわざ申請センターに足を運ばなくても、郵送で事足りるじゃんと思う。今回、郵送でできないことは、指紋認証だけだった。

 

結局僕は、総額10万円弱支払い、結果として、ビザがちゃんと届くかもよくわからないでいる。イギリスビザ申請は、値段とサービスが全く見合っていない。その高額な申請代金と追加料金は、チキンゲームに放り込まれた自分を安心させるためだけに有効である。これを典型的なヤクザ商売と言わずして何と言おうか。イギリスのビザは取らないことをおすすめする。

 

(2017.8.30追記)

ネットで情報収集をしていると、どうやら最近(少なくとも8月)ビザの審査場所がマニラからイギリス(シェフィールド)に急きょ変更され、審査にめちゃくちゃ時間がかかっているらしい。そんなん知らねえよ。あらかじめアナウンスしてくれよと思う。

有料の優先審査サービスを使っても2-3週間かかる人が続出。優先サービス不使用でTier5申請だとなんと3か月以上かかっている人もいるらしい。Academic Visitorでよかったと思うべきなのだろうか。。。

 

(2017.9.2追記)

www.theguardian.com

 

The guardianにビザに関する記事が載っていると友人から知らせがあったので、読んでみる内容をざっくりまとめると、「内務省の予算が削られているから、ビザ関連の費用を値上げすることで利益を出すようになった」という話。ビザ料金が25%ほど値上がりしていたり、再申請させてもういちど支払わせたり、ビザについてのメールを送るのにもお金を取ったりしている。まさに国ぐるみのヤクザ行為である。

 

(2017.9.7追記)

昨日、9月6日にパスポートが返ってきて、中を見るとちゃんとビザが貼られていた。7営業日で返ってきた。ふつうに早かった。

Standard Visitorで優先審査サービスを購入したからなのかもしれない。一件落着である。